第6回 2019 都市・まちづくりコンクール

レポート

第6回 2019 都市・まちづくりコンクール

名称 第6回 2019 都市・まちづくりコンクール
審査・表彰 2019年3月15日(月)
会場 芝浦工業大学 豊洲キャンパス アーキテクチャー・プラザ
審査員/
実行委員

<審査員長 兼 実行委員>

  • 小林 英嗣 (北海道大学名誉教授 日本都市計画家協会会長)

<審査員 兼 実行委員長>

  • 中野 恒明 (芝浦工業大学名誉教授 アプル総合計画事務所主宰)

<審査員>

  • 江川 直樹 (関西大学教授 現代計画研究所顧問)
  • 角野 幸博 (関西学院大学教授)
  • 児玉 正孝 (株式会社竹中工務店 常務執行役員)
  • 小林 正美 (明治大学副学長 アルキメディア設計研究所主宰)
  • 柴田 久 (福岡大学教授)
  • 田井 幹夫 (静岡理工科大学准教授 アーキテクトカフェ・田井幹夫建築事務所主宰)
  • 前田 英寿 (芝浦工業大学教授)
  • 岸  隆司 (総合資格学院学院長)
主催 総合資格学院/都市・まちづくりコンクール実行委員会

都市・まちづくりに特化した稀有なコンクール

総合資格学院/都市・まちづくりコンクール実行委員会が主催する「2019 第6回 都市・まちづくりコンクール」が、2019年3月15日(月)に芝浦工業大学 豊洲キャンパス アーキテクチャー・プラザで開催されました。

本コンペは、今年で初開催より6回目を迎え、本年度は、127のエントリーがあり、出展数は96作品となりました。
今回の課題は「和」。「和」のもつ様々な意味を考えながら、建築や都市デザインの魅力ある【和】のかたちやシステムの提案を求めるものです。

本コンペの特徴として、「建物」だけではなく、建物周辺計画(都市・まちづくり)にまで設計と審査の領域を広げた学生コンペ(※)であることが挙げられます。「建物」を審査の主眼とする公開コンペは多くあるものの、「都市・まちづくり」を対象としたものは数少なく、本コンペは、建築・都市計画系の学生にとって、貴重な力試し、発表の場と言えるでしょう。
※建築・都市計画系の大学・大学院・専門学校等に在籍する学生が対象

【コンペ概要】※応募要項より抜粋

都市・まちづくりは社会構造の変化、少子高齢化、災害対策などにより、常に改変を求められるものであります。
また、その目的も成果も多種多様であり、単にそこに存在する人々の「活性化」や「賑わい」だけが求められるものではなく、環境改善への貢献、歴史的意義やサステナブル都市としての要求等も常に求められる非常に有機的で難解な研究領域であります。こうした領域に取り組む学生の育成を図る目的で、自ら問題意識を見出した課題において、真摯に向き合い、様々なアイディアと努力により創り上げた力ある作品を募集します。学生達が生み出した景観や創造価値と作品に込められた熱意を評価し、また、他学との交流を通じて、さらに視野を広げてもらうことを期待します。加えて 一般の方にも公開し、都市・まちづくりに対する理解、関心を深めます。

会場となった芝浦工業大学 豊洲キャンパス アーキテクチャー・プラザ

会場内の様子

一次審査(巡回審査)

96作品の中から事前審査を勝ち抜いた45作品が会場に展示され、一次審査(巡回審査)が行われました。
一次審査では、45作品を全ての審査員が巡回しながら審査し、10選を選出します。作品の傍らには、制作者が立ち、巡回してくる審査員へプレゼンテーションを実施し、また、審査員からの質問等に回答する形で審査が行われました。

【審査員】

小林 英嗣 氏
(審査員長)

江川 直樹 氏
(審査員)

角野 幸博 氏
(審査員)

児玉 正孝 氏
(審査員)

小林 正美 氏
(審査員)

柴田 久 氏
(審査員)

田井 幹夫 氏
(審査員)

前田 英寿 氏
(審査員)

総合資格学院
学院長 岸 隆司
(審査員)

中野 恒明 氏
(審査員兼実行委員長)

審査員からの質問はコンセプト、具体的な施工法、法規、地盤に関わることなど作品ごとに多岐に渡るものでした。質問の中には、かなり掘り下げた内容もありましたが、多くの出展者は質問に的確に対応することができており、綿密なリサーチや考察の深さが感じられました。また、建物の周辺環境も含めた模型の迫力は、見るものを強く引き付けていました。
巡回中、審査員の口からは、しばしば「おもしろい」といった声が洩れていました。 コンペは、個人間の競争ですが、「建築や都市・まちづくり」の新たな可能性のプレゼンテーションの場とも言え、将来性のある「種」を審査員は見つけようとしているようにも見えました。競争でありながらも、建築や都市・まちづくりを発展させる「全体戦」ともいえるでしょう。

巡回審査の様子(1)

巡回審査の様子(2)

一次審査後、審査員の投票により10選が決定!

一次審査後、各審査員が評価の高かった10作品に投票し、得票数の多かった上位10作品が最終審査に進みました。

■最終審査選出作品

名前 所属 学年 作品名
大崎 真幸さん 神戸大学 大学院
2年
カバタの共同利用コミュニティー
田口 周弥さん 日本大学 大学院
1年
浦島の伝承記 ‐子安浜におけるバラック集落更新の物語ー
山田 将弘さん 早稲田大学 4年 スラム自立更新システムの構築
~フィリピン・セブ市・ロレガ地区を対象として~
砂川 良太さん
伊藤 滉彩さん
平林 航一さん
早稲田大学 4年 海へのまなざしの修復
~アジアへと通じる伝統文化と生活のための建築~
鈴木 遼太さん 明治大学 4年 たとえば基準線にかさぶたを
清水 大夢さん 明治大学 大学院
2年
捲土重来 ー段階的ブラウンフィールド再開発プロジェクトー
小野 智也さん 芝浦工業大学 大学院
1年
染めゆくは行方~伝統工芸から考える新しい街の在り方~
高岩 愛実さん 明治大学 大学院
2年
彼らのトドマリの場
池部 辰樹さん 明治大学 大学院
2年
バンコクにおける運河沿いのスラムの再開発手法の提案
市原 尚典さん
原 良輔さん
九州大学 3年
4年
神秘なる邪魔者-竹建築辞書を用いた里山再興-

二次審査(公開審査)

同日、午後からは10選から各賞を決定するための二次審査が行われました。二次審査は、1作品についてプレゼンテーション5分、質疑10分の公開審査形式で行われました。

10選に選ばれただけあり、着眼の面白さやリサーチの深さなど、実力を感じさせるプレゼンテーションが続きました。
また、プレゼンテーション・質疑で話された内容は、建物や都市・まちだけにとどまらず、地球規模の話や人々の営みや絆といった部分まで話が及ぶ場面も見られ、非常に多くの領域が交差する「都市・まちづくり」の特徴を感じられるものでした。

各作品のプレゼンテーションの後、各審査員が1人4点を持ち、最優秀賞と考える1作品に2点を、優秀賞だと考える2作品に各1点を投票しました。票は分かれ、一度の投票では賞が決定せず、複数回の投票が行われ接戦となりましたが、最終的に各賞が以下のように決定しました。

また、本戦未通過だった作品の中から来場者投票で1位を決める「都市まちコンテスト」グランプリは、「Public Construction -街に開かれる工事現場- 木下 規海さん 慶應義塾大学(4年)」に決定しました。

■入賞

最優秀賞

「スラム自立更新システムの構築~フィリピン・セブ市・ロレガ地区を対象として~」
山田 将弘さん 早稲田大学(4年)

フィリピン・セブ市・ロレガ地区のスラムに1ヵ月間泊まり込み調査を実施。スラムが抱える様々な問題を解決する上では、経済力こそが重要と考え、遊歩道と一体となった高床式の住宅(遊歩道は住宅の2階部分に接続)を提案。遊歩道から観光客をスラム街に呼び込みロレガ地区の経済力を高める。住宅は木造とブロックからなり、地区の住人がセルフビルドで廃材から住宅を作るプログラムも考案。

中野氏:実際に現地に赴き、住人の声をもとに提案をしている点など素晴らしいと思うが、実際的に考えると、遊歩道下の空間の使い勝手や、アーケードは火災が広がりやすいなどの問題もある。現提案ではアーケードを木造としているが耐火性能的に問題がないか。モルタルを塗るなどの施工上の工夫が必要とも言える。

和田氏:提案のように経済力を高めることも必要だが、若い人たちがどう、このプロジェクトに関わるか。このプロジェクトに教育的な側面があるかも重要なポイント。

小林(正美)氏:フィリピンに赴いて、実際に体験したパワーはすごいと感じた。

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優秀賞

「海へのまなざしの修復 ~アジアへと通じる伝統文化と生活のための建築~」
砂川 良太さん 早稲田大学(4年)/伊藤 滉彩さん 早稲田大学(4年) /平林 航一さん 早稲田大学(4年)

沖縄の海沿いの集落では、海との関係性が希薄になっており、それが海と関わりの深い伝統文化や集落の衰退を招いている。
提案では、集落を海にひらき集落同士が船で交易することで経済力が高まり、併せて共同体も形成される。また、浜辺に海に向かって伸びる複数本のレールを敷き、船の運搬経路を確保することで船の維持・管理とった伝統文化を再興。まちづくりでは、沖縄の伝統的な建築様式:ヒンプンをヒントに風よけの壁で集落全体を柔らかく囲い、中庭的な空間で人々のアクティビティを活性化させる。

中野氏:この提案により、集落が良くなりそうだと感じた。少し気になった点は、海と集落の間の壁が大きすぎる感じを受けた点と、集落の中に路地がもっとあると魅力的だった。

小林(英嗣)氏:集落のアクティビティは実際的には365日24時間営みが続く。経済活動以外のアクティビティも包含されていれば、もっと説得力があった。

写真1

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優秀賞

「バンコクにおける運河沿いのスラムの再開発手法の提案」
池部 辰樹さん 明治大学(大学院2年)

バンコクでは、運河と暮らしが密接に関係してきたが、現在、バンコクのスラムでは水質汚染、洪水、建物の老朽化等が問題になっている。政府では、スラムの再開発を進めているが、そこでは生産性が重視され、従来あった景観やライフスタイルは損なわれている。
本提案では、政府の開発と異なる提案をするにあたり、アジアンニューアーバニズム(※)を研究し、タイをはじめとするアジアのあるべき姿を考えた上で、住人や政府関係者へのインタビューやスケッチなど詳細な現地調査を実施。スラムコミュニティに寄り添った視点で、従来の景観を活かした再開発案を提案。
※アジアンニューアーバニズム:開発、都市計画、コミュニティ、建築設計等について述べられている書籍(ウイリアム・リム著)。

角野氏:きっちりした調査と提案がされている。アジアンニューアーバニズムの考え方、そのままな部分があるところがやや気になる。

前田氏:観光資源を入れれば、住人が自力でまちづくりを変えることもできるのではないか。

小林(正美)氏:この提案を実現するためには、経済力が必要で、政府と住人が一緒になってやっていかなければいけない。

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岸トラベル賞(3作品)
海へのまなざしの修復 ~アジアへと通じる伝統文化と生活のための建築~

砂川 良太さん 早稲田大学(4年)/伊藤 滉彩さん 早稲田大学(4年)/平林 航一さん 早稲田大学(4年)
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彼らのトドマリの場

高岩 愛実さん 明治大学(大学院2年)
写真2
染めゆくは行方 ~伝統工芸から考える新しい街の在り方~

小野 智也さん 芝浦工業大学(1年)
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小林英嗣賞
最後の城の幻影 -現代都市における近世城郭の再編-

岩田 周也さん 東北大学(4年)
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中野恒明賞
鯉巡る町

斉藤 知真さん 信州大学(1年)/筒井 伸さん信州大学(1年)/増田 千恵さん 信州大学(大学院2年)
写真2
江川直樹賞
Action! -銀座を舞台にした映画の観察と都市への舞台的建築の挿入-

小林 大介さん 慶應義塾大学(大学院2年)
写真2
角野幸博賞
声をあつめて更新される千賀沼の「風景」 -協働設計を通じたメディア的建築の実践と考察-

齊藤 有生さん 芝浦工業大学(大学院2年)
写真2
児玉正孝賞
○○人の演者たち -本を生業う産業ネットワークのゆくえ-

井上 莉沙さん 法政大学(1年)
写真2
小林正美賞
都市の仮面劇場

廣川 大樹さん 工学院大学(4年)
写真2
柴田久賞
浦島の伝承記 -子安浜におけるバラック集落更新の物語-

田口 周弥さん 日本大学(1年)
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田井幹夫賞
彼らのトドマリの場

高岩 愛実さん 明治大学(大学院2年)
写真2
前田英寿賞
街路ネットワークを活かした塀と蔵とアートによる木密エリア再編の提案

福井 靖範さん 近畿大学(4年)
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各審査委員からの講評

【田井 幹夫氏】
刺激的な提案が多く、審査をしていて楽しかった。 今回のコンペで、実際、提案は建築物だったのだと思うが、建築物を作る上では、結局、都市やまちを意識せざるをえない。
都市やまちと建物との関係を改めて考えさせられると同時に、本来の建築の在り方も考えさせられた。

また、案に関しては多様で、選ぶ際にはそれぞれの審査員のスタンスが出ていたように思う。
自分は、建築家なので、建築的な面白さや魅力を持ちながらも、より大きな視点や枠組みを持っている、またはそれらに繋がっている作品に投票した。特筆すべき点としては、学習の割合が違う出展者(大学生と大学院生等)が同じステージに立てたのも素晴らしいコンペの在り方だと感じた。

【柴田 久氏】
評価基準とした点は3点あり、1点目は、「和」という課題に対して都市・まちづくりコンクールという枠組みの中でしっかりと提案できているか。最終審査では特に「和」を念頭にしたものは少なかったように感じる。出展した以上は、どのような形であっても課題についてしっかりと伝えらえるようにすべき。
2点目は、コンセプトとデザイン/模型がうまく繋がっているか。模型、デザインは非常に魅力的という場合であっても、それらがコンセプトに沿っているかという点が特に重要。
3点目は、他者が見た時に、伝えたい内容や見せ方になっているか。自分の思いを伝えることは重要だが、他者に伝わるプレゼンができているかという点について、今一度、自分のプレゼンテーションを見直して欲しい。

【江川 直樹氏】
自分が学生の時は、「建築は建築のためにある」と教えられた。
しかし、現在、自分は「建築はまちのためにある」と考えているし、「建築は社会のためにある」と考えている。
今回の作品では、卒業設計や修士論文のために題材を選んだものも多かった思うが、本来は皆さんが日常の中で社会に対して「こうすべきだ」と感じたことが、うまく卒業設計や修士論文に表れてきてくれたらいいなと思う。皆さんには、「日本の日常をどうするか」というあたりをもう少し考え続けてほしい。

【小林 正美氏】
建築は敷地の中の建物について、どう建てるか考えることであり、それが建築家の仕事。しかし、実際は、まちやコミュニティのことを考えなくてはいけない。
建築家を志すにあたっては、卒業設計、修士論文でも、まち全体が将来どうなるかを考えながら、建物を設計して欲しい。
そういう意味では、このような教育的なプログラムを総合資格学院協力のもと作れたことについて、非常に嬉しく感じている。また、都市系の修士設計について、このように公の場で発表できる環境は今までなかった。今回、作品のレベルがすごく高くなっており、コンペがよくなっていると感じた。

【小林 英嗣氏】
地球上の社会の持続的な発展を考えるという意味のSDGsという言葉があります。
それは、先進国、途上国、関係なく政治の目標、あるいは開発の目標とする必要があり、建築もそれを実現していくための一つのツールと言えます。また、まちづくりも、より身近にかつ幅広くそれを実現していくツールです。大学でそれを教えているかはわかりませんが、今回、作品の中にもそのような芽が含まれていると感じました。
今年は、都市計画法ができて100年目。現在では、戦後とは異なる集落や地域が抱える課題、人口減少の問題が見えてきており、今後、もうこれまでの都市計画法という法律は使えない可能性が高い。新しい枠組みや約束事をみんなで作っていく必要がある。その面で、みなさんの役割は、新しく、非常に面白いものになっていくと思う。建物は竣工したら終わりだが、都市・まちづくりは終わりがない。いろいろな職能を通して関わっていけると思うので、その心を忘れず社会の中で動いていって欲しい。

【児玉 正孝氏】
地球の環境問題、日本の人口減少、新しいテクノロジーなど情勢は時々に変化する。
今回の作品を見ていると、都市機能の再構築、具体的には機能転換の案、地域再生:地域のもっている力をまちづくりにどう活かしていくかという案や、スラムの再生にみられるように日本のまちづくりをどう外に展開していくかという案があったように思う。

皆さんに一番伝えたいのは、ものごとを考える際に敷地だけで考えない、敷地だけで閉じないという点を意識してほしいということ。その視点を持つことで隣の建物が機能転換できたりする可能性がある。
閉じた視点で考えるとどうしても、切り口が小さくなってしまう。敷地を考えるのと併せて、俯瞰でものごとを見て、今やっていることはどのような意味があるのか、敷地や建物を含む地域社会の中でこのプロジェクトをどう位置づけるかいったことを常に見ながら、複眼的に考ていってほしい。

【角野 幸博氏】
自分は、生産工学部で建築や都市計画を指導しているが、今は、そのような枠組みの中で建築やまちづくりを考えざるをえなくなっている。
皆さんが社会に出た時の状況を考えると日本の国内だでけでは、おそらくそんなに仕事はないと思う。 長い時間軸の中の一点を自分たちが担っているという流れの中で仕事が生まれる。そのために、基本的な空間デザインをすることは不可欠だが、それらが地域の人々やその人たちの文化・ライフスタイルにどう関わるかという視点を持たないと仕事はなくなるんじゃないかと思う。
なお、私の審査基準については、一つ目が都市やまち、歴史や環境をどのくらい読み込んでいるか、それに対してどのような答えをだそうとしているか。二つ目は、提案が都市やまちに、どのようないい影響を与えることになるのか。三つめは、対象のまちや地域に愛情を持って取り組んでいるかという点でした。 その上で、最終的な形はもちろん、それを実現していく上で、どのようなプログラムがその中で検討されているのか、またそのプログラムの展開の可能性について考えました。最後は、プレゼンテーションです。

【前田 英寿氏】
会場に展示された45作品もそうですが、審査員が文脈もわからない中で模型とパネルの記載内容だけで選ばれた10選は、選ばれた時点で相当レベルは高い。デザインを好きな人は是非、まちづくりをやってほしい。都市計画においても、表現力こそが武器。意匠建築に進むだけではなく、是非、都市計画をやってほしい。

総評・主催者挨拶

総評:小林 英嗣氏
非常に充実した時間でした。建築家は、日本にも世界にもたくさんいますが、これから必要になってくるのは地域を裏で、また、横で支える、または行政の世界にも通じながら地域の価値を上げていける人。そのためには建築の知識は当然必要。文章を書いただけでは横ぐしを通せない。
将来の姿をわかりやすく空間の姿におとしながら、相手をひきこんで、次の社会やコミュニティーに価値をつけて送ることが大事。そのためには、建築やインフラのイメージをもっている行政や民間の人々からうまく資金的な協力を得ることで、次の世代を光るものしていけばいい。また、建築は絶対に捨てないでください。相手にものを伝える時の本当に大事な道具です。でも、「建築で」とまらないでください。また、10年、15年たったらここにいる審査員に、何をしているかを是非、教えてください。楽しみにしています。

主催者挨拶:総合資格学院 学院長 岸 隆司
本コンクールは今年で、開始から6年目となる。都市計画系のコンペがなかったため、審査員の先生の方々、各大学の先生の方々の協力をいただきながら、第6回目を迎えられたことを非常に感謝している。今回、賞をもらえなかった方もこの悔しさをバネに飛躍していただきたい。また、社会にでたら、資格は一番の武器になるため、是非、建築士を取得して活躍していただきたい。

各審査員からの総評、表彰式の後、場所を移して、学生、審査委員、関係者による懇親会が行われました。そこでは、審査員・出展者の垣根を超え、語らいの場が広がっていました。